蜂の子とイナゴの違いは?

蜂の子とイナゴは、日本で食用にされている昆虫の代表例です。両者とも缶詰や瓶詰にした佃煮が販売されており、長野県などの一部地域の郷土料理として知られています。
両者は似ている点も多いですが、成分・健康効果・価格などのさまざまな点で違いがあります。

蜂の子とイナゴはどんなもの?

蜂の子とは?

蜂の子は、蜂の幼虫やサナギです。日本で蜂の子として主に食べられている蜂は、クロスズメバチ・オオスズメバチなどのスズメバチ類とミツバチです。

イナゴとは?

イナゴは、「バッタ亜目・イナゴ科」に分類される各種バッタ類の総称です。
イナゴは稲を食べる害虫であるとともに、水田から採れるタンパク源として、以前は多くの地域で食用とされていました。

蜂の子とイナゴの違い

蜂の子とイナゴには、さまざまな点で違いがあります。

食べられている地域

蜂の子とイナゴは、以前は全国的に食用とされていました。
大正時代に行われた全国調査で、蜂の子が北海道から沖縄までのあらゆる地域で食用とされていたことが確認されています。
イナゴも、農薬が使用される以前は害虫駆除を兼ねて大量に採取できたことから、水田から採れる貴重なタンパク質として全国的に食用とされていました。

蜂の子を食べる主な地域

現在は蜂の子を食べる習慣のある地域は減少しましたが、長野県・岐阜県・愛知県・静岡県・山梨県・栃木県・岡山県・宮崎県・熊本県などの山間部を中心に日本各地で食べられています。

イナゴを食べる地域

農薬の普及により、イナゴを食べる習慣のある地域は大幅に減少しました。現在イナゴが一般的に食べられているのは、長野県などの内陸部の一部地域のみです。

(参考URL)
蜂の子・ザザムシ・イナゴは貴重なタンパク源だった
https://xyliatales.com/01132008/

利用法

蜂の子とイナゴは、佃煮にしたものが珍味として食べられています。
蜂の子は古くから薬としても利用され、高い健康効果があることからサプリメントの材料として多くの製品に利用されています。
それに対してイナゴは、以前は民間療法の咳止めの薬として利用されていましたが、現在は食用としての利用が中心です。

成分

蜂の子には、アミノ酸・ビタミン・ミネラル・脂肪酸がバランス良く含まれています。蜂の子はイナゴよりも脂肪酸が多く、ビタミンB群が豊富です。
イナゴは蜂の子よりもタンパク質の比率が高く、脂肪酸が少なめです。また、ビタミンEも含まれています。

蜂の子には淡白な味わいがあり、高級珍味として知られています。蜂の子の味は卵焼きにも例えられます。蜂の子の幼虫やサナギの食感は柔らかく、成虫に近い個体は小エビのような歯ざわりがあります。
イナゴには香ばしい風味と歯ざわりがあり、味と食感は「エビの尻尾」に似ているといわれます。

調理法

蜂の子とイナゴの調理法としては、佃煮や甘露煮が有名です。
蜂の子は、から揚げや炒め物にしても美味しく食べられます。また、岐阜県のなどの一部地域では、蜂の子の炊き込みご飯が郷土料理として定着しています。
イナゴもから揚げや炒め物として食べられていますが、炊き込みご飯は一般的ではありません。

価格

蜂の子は高級珍味として知られており、価格が高めです。65g程度の缶詰でも1,200円程度で販売されています。
イナゴも珍味として食べられていますが、蜂の子に比べると価格は安めで、缶詰の価格は蜂の子の半額程度です。

以上のように、蜂の子とイナゴにはさまざまな違いがあります。
蜂の子とイナゴを食べる習慣は現在では一般的ではありませんが、以前は全国的に食べられていました。日本の伝統の食文化を体験する意味でも、蜂の子とイナゴを食べてみてはいかがでしょうか。